ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団 Vienna Nicolai String Quartet

ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団 Vienna Nicolai Quartet

—うっとりするような優美さと繊細さを漂わす(ウィーン・プレス、2013年5月)


ウィーンを中心に活躍して来たメンバーが集まり、室内楽の中でも至上の形式である弦楽四重奏団を結成。ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団、その名はウィーン・フィルの創始者「オットー・ニコライ」に由来している。特に初期のウィーン楽派、ロマン派の楽曲を得意とする。彼らの音楽には、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場管弦楽団でのオーケストラ奏者としての活動の中で薫陶を受けた伝統の品位と色彩豊かな香りが表現されている。音を聴きあい、対話するように演奏する豊かな響きの中には、古典音楽の真髄が感じられる。ヨーロッパやアジアの音楽祭やコンサートホールで演奏を行い、気鋭の弦楽四重奏団としての地位を確立した。ウィーン国立歌劇場主催のウィーン・フィル室内楽シリーズへの出演のほか、中国ツアーを行い高い評価を得た。2018年初来日を果たし、日本ツアーも成功裡に終え、今後のさらなる活躍が期待される弦楽四重奏団である。

ヘーデンボルク・和樹・ヴィルフリート Wilfried Kazuki Hedenborg

6歳よりヴァイオリンを始める。1989年、モーツァルテウム国立音楽大学でルッジェーロ・リッチに師事し、1998年に最優秀の成績で修了(芸術学修士)。同年ウィーン市立音楽大学でウェルナー・ヒンクに師事し、2001年に首席で卒業。「オーストリア青少年音楽コンクール」1位および「ウィーン・フィルハーモニカー特別賞」(1993年、オーストリア)、「パブロ・デ・サラサーテ国際コンクール」(同年、スペイン)4位受賞(最年少)。「リッチ国際コンクール」(1995年、ドイツ)1位受賞、「タデウス・ヴロインスキー・ソロ・ヴァイオリン国際コンクール」(1997年、ポーランド)1位受賞等。またヴァイオリンの弦の開発も手がけており「トマスチック・インフェルド」と契約を結び、1999年に「インフェルド・ヴァイオリン」の名称で商品化された。2001年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。2004年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の正団員として活動する一方で、室内楽の演奏活動にも積極的に参加し、ソリストとしても活躍している。2012年には、「ニコライ弦楽四重奏団」、さらに兄弟3人によるピアノ三重奏団「ヘーデンボルク・トリオ」を結成した。1998年にモーツァルテウム国立音楽大学(クリスタ・リヒター・シュタイナー勲章)およびオーストリア連邦省より叙勲された。使用楽器はM.SchwalbとD.Bagué。弓はT.M.Gerbeth。1977年生まれ。

ベンジャミン・モリソン Morrison Benjamin

ニュージーランド出身。7歳よりS.ラーセンに師事し、2004年にニュージーランド国際コンチェルト・コンクール優勝。2006年よりニュージーランド交響楽団のコンサートマスターであるV.M.レッペネンの元で高等教育を受け、同年より2009年まで、ニュージーランド国際青少年オーケストラのコンサートマスターを務める。2007年にオーストリアへ移り、グラーツ音楽大学のY.クレスに師事。ソリスト、室内楽奏者としての経験を積み、「マルタ・デベリ」や「グラドゥス・アド・パルナッスム」などオーストリア国内の数々のコンクールで入賞する。2010年にはその功績を認められ、グラーツ市より表彰される。モリ ソン・トリオを始め数多くのアンサンブルに参加し、ミハイル・ヒル国際ヴァイオリンコンクール(2011年)、国際ブラームス・コンクール(2013年)で入賞するなど、世界各地で演奏し成功を収めている。2014年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。2017年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の正団員として活躍している。使用楽器は父デヴィッド・モリソン作(2006年)とジュゼッペ・ナドッティ作(1785年)。

ゲルハルト・マルシュナー Marschner Gerhard

G.ビーダーマンに師事し、6歳よりヴァイオリンを始める。1992~1994年にI.ステムベルガー、1994~1995年にJ.ポラスチェックに師事した。その後、グラーツ音楽大学で、ウィーン・フィルの団員を数多く育てたアルフレッド・シュタールとその助手であるH.クロイザマーに永く師事するが、A.シュタールの急死によりヴィオラに転向。首席ヴィオリストのヨーゼフ・シュタール、およびウィーン国立音楽大学でH.P.オクセンホファーに師事する。若い頃より才能を発揮し、1997年と2000年にはプリマ・ラ・ムジカで優勝。2002年にはトレンタ国際音楽フォーラムのファイナルコンサートとして楽友協会のブラームスザールで独奏した。また2004/05年のシーズンにはコーブルク四重奏団としてウィーンのコーブルク宮殿で演奏。2006年にはR.バッケンとCDをリリースし、グスタフ・マーラー作曲コンクールの入賞作品の独奏者としても参加した。2004年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。2007年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の正団員およびヴィオラ・パートのリーダーとして活躍、2017年から首席奏者を務めている。

ヘーデンボルク・直樹・ベルンハルト Bernhard Naoki Hedenborg

5歳よりチェロを始める。12歳でモーツァルテウム管弦楽団との共演でソロ・デビュー。13歳からモーツァルテウム国立音楽大学のハインリッヒ・シフの下で研鑽を積む。「若い音楽家のための国際チェロ・コンクール」(1993年、イタリア)優勝、「第2回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」(1995年、仙台)銀メダル等。2003年バイエルン放送室内管弦楽団とのハイドンのチェロ協奏曲でウィーン楽友協会大ホールにデビュー。2007年にはアイゼナハ歌劇場(ドイツ)のソリスト・イン・レジデンスを務め、音楽総監督の阪哲朗とともに演奏を行った。ウィーン・トーンキュンスラー管弦楽団首席チェロ奏者を経て、2011年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団、2014年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の正団員となる一方で、室内楽の演奏活動にも積極的である。2004年から参加しているピアノ四重奏団アンサンブル・ラロとしての活動も続けており4枚のCDをリリースしている。2012年には、「ニコライ弦楽四重奏団」、さらに兄弟3人によるピアノ三重奏団「ヘーデンボルク・トリオ」を結成した。2006年より神戸国際芸術祭の音楽顧問を務め、ソリストとしても国内外の数々のオーケストラと共演している。1979年生まれ。